バングラデシュってどんな国?知られざる実態 〜活発な交易と日本との関わり〜

皆さん、こんにちは!
今回はSTUDY FOR TWO(以下SFT)の支援国の1つである「バングラデシュ」について、主に産業による交易活動・日本との関係の2つの面に着目して書こうと思います。
まずはじめに…
「バングラデシュ」と聞いてパッとこない方もいると思うので、まずはバングラデシュの基本的な情報(バングラデシュ統計局より)をご覧下さい!
人口【2017年1月】: 1億6175万人(世界7位)
人口密度: 1084/km2 (世界1位)
面積: 14万7000km2
首都: ダッカ
宗教: イスラム教(88.4%)
公用語: ベンガル語
−補足−
面積は日本の国土の約4割であり、およそ北海道と東北を足した面積です。
この面積に約1億6000万人もの人々が住んでいるので、その人口密度は日本の3倍であり、トップの水準を誇ります。
↓この写真を見たら、人口密度の高さが一目瞭然ですね、、、
バングラデシュの産業と交易活動
〜世界第2位のアパレル輸出国〜
「バングラデシュ」はアジアの中で特に貧しい国と言われていますが、最近では低中所得国に認定されています。主要産業としては、衣料品・縫製品産業・農業が挙げられます。
縫製産業に関してバングラデシュは、今や中国に次いで世界第2位のアパレル輸出国です。バングラデシュは人口が多いため労働力が豊富であり、人件費がかかりません。また、イギリス植民地時代からアパレル縫製工場が存在するため、縫製の歴史があります。そのため、今ではバングラデシュからの輸出品の82%がアパレル衣料だそうです。
この記事を読んで下さっている方が着ている服も、もしかしたら「メイド・イン・バングラデシュ」かもしれません!(アパレル産業について詳しくはSFTの2017/07/27の記事をご覧ください!)
そこで、バングラデシュは独自の縫製産業でどのような国と交易をしているのか気になりませんか?
(参考:主要貿易相手国 2016年度バングラデシュ中央銀行)
輸出国: 米国・ドイツ・英国・フランス・スペイン・ イタリア・日本・中国・オランダ・ベルギー
輸入国: 中国・インド・シンガポール・日本・韓国・インドネシア・米国・マレーシア
外交基本方針として、国父ムジビル・ラーマンは「敵意なく全ての国と友好を」というスローガンを掲げ、全方位外交を提唱しました。
そして、インドをはじめとする南アジア諸国やイスラム諸国を初め、日本を含む主要援助国を中心に友好関係を構築してきました。
このように、バングラデシュは閉鎖的な国ではなく伝統産業を活かし、様々な国との貿易を通して経済が動いている事が分かりますね。日本は特に積極的に交易していることが分かります!
日本との関係
~バングラデシュへの援助額では日本は世界第1位~
援助額や援助活動の前に、まずは日本はバングラデシュと、どのような関係を持っているのかを見てみましょう!(参考:http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/bangladesh/data.html)
①政治関係
経済協力関係を中心に友好関係が発展した事もあり、バングラデシュは極めて親日的な国民性であると言われています。
1972年2月10日:日本側、バングラデシュを承認
1972年3月3日 :バングラデシュ、東京に大使館開設
1972年7月1日 :日本側、ダッカに大使館開設
②経済関係
⑴対日貿易 (単位:百万ドル)
(ア)貿易額
2012年 |
2013年 |
2014年 |
2015年 |
2016年 |
|
輸出 |
601 |
750 |
862 |
915 |
1,080 |
輸入 |
1,445 |
1,180 |
1,284 |
1,816 |
2,075 |
(イ)主要品目(2016年)
輸出:既製服・ニット製品・履物・紡績用繊維等・革製品等
輸入:鉄鋼・車両・一般機械・織物用糸及び繊維製品・電気機器
この表から分かるように、バングラデシュの日本への輸出額は増加傾向にあると同様に、日本からの輸入額も一度下落したものの、2013年以降増加しています。
つまり、2か国間の貿易は年々活発化している事がこの数字を見て分かると思います。
⑵日本からの直接投資(2016年度バングラデシュ財務省) (単位:百万ドル)
2012年 |
2013年 |
2014年 |
2015年 |
2016年 |
|
投資額 |
30.1 |
94.4 |
96.3 |
45.4 |
48.3 |
続いて、日本による援助や支援活動を見てみましょう!
バングラデシュに対して、最も援助を行なっている国は、、、なんと!日本なのです。(参考:http://special.nikkeibp.co.jp/as/201307/dhaka/vol1/sp.html)
では、なぜ日本はバングラデシュの援助に積極的なのでしょうか?
その理由は、欧米に比べて地理的に近い事・橋や発電所の建設など日本が得意とするインフラ整備の需要が大きい事が挙げられます。因みに、バングラデシュが独立した1971年は日本が先進国の仲間入りをして「援助される側」から「援助する側」に変わる丁度その時でした。
バングラデシュの建国は1971年で、ODA事業を牽引するJICAの設立は1974年。相前後して、日本はバングラデシュにまとまった援助をスタートしました。日本のJICAは、持続可能かつ公平な経済成長によるバングラデシュの成長と貧困から脱却を後押しするため、バングラデシュの経済活動の活性化、並びに社会の脆弱性の克服への取り組みを支持するとし、9つの分野で協力を展開しています。
今回はその9つのうちの1つ、「防災/気候変動対策プログラム」の「気象予報・予測能力向上プロジェクト」について紹介します。
(参考:https://www.jica.go.jp/oda/project/0800332/index.html)
〈プロジェクトの紹介〉
国土の大部分が平地で、洪水・サイクロンなどの自然災害が多発しているのバングラデシュ。
日本は1988年より無賞金協力により気象レーダー施設建設などの気象観測網の整備を行なってきました。しかしながら、気象レーダーによって得られたデータを十分に活用できておらず、気象予測においても予報官の熟練度に依存し、精度にバラつきがありました。この協力では、気象観測能力、観測精度の向上、数値予報技術による中長期予報の確立、気候変動の傾向分析とそれらの精度の高い情報の発信能力の強化について支援しました。
↓ケグパラ気象レーダー観測所における運用維持管研修
その他にも以下のような事業も行なっています。
↓メグナ橋:通称「バングラデシュ・日本友好橋」
メグナ橋とは、日本の援助によってメグナ川に架けられた橋です。この橋が出来るまでは、首都のダッカからバングラデシュ東部地域まで行くのに、物資輸送も人の移動も船に頼らざるを得ず経済発展の大きな妨げになっていました。
このように、日本による支援は大きな力となっているのがわかりますね。インフラ整備や物資による援助だけでなく、バングラデシュ人の知識や能力向上のための支援も行なっているのです。
「バングラデシュ」という国がどの様な国なのか、少しでも知って頂けたでしょうか?
この国に対して、貧しい・治安が悪くて危なそう…などといったマイナスなイメージを持っている人も多いかと思います。
しかし、今まで書いてきたように、開発途中ではありますが、日本をはじめ海外からのスポンサーを受けながらも積極的な交易を行い、また自国の伝統産業を活かし、確実に成長してきていることがよく分かります。
SFTは、バングラデシュに教育支援という形で関わっています。今はまだ微力かも知れません。しかし無力ではないと思うのです。
私たちに出来ることを考え、これからもこの活動を続け、バングラデシュの教育向上の力となるよう、メンバー一丸となって活動していきます!